先日、山梨県立美術館で、「燿る技(ひかるわざ)~引き継ぐ伝統 故郷の達人」という写真展を見てきました。
山梨県の伝統を紡ぐ方たちを、県内で長く活躍していらしたフリーカメラマンの浅川毅さんが何年もかけて撮影した作品展です。
撮影した、と簡単に言えないくらい、一瞬の姿に、それまでの歴史を伝えるこの写真は、今の山梨を伝える貴重な作品です。
パンフレットにこう記してありました。
「山梨県には国・県の名工、あるいは伝統工芸の仕事を引き継いで働いている人達、ものつくりに一生を捧げて県内の産業・観光を支えてる匠たちがおります。その努力と情熱には大変なものが感じられます。その割にはあまり理解されておりません。今回はこの匠たちの仕事場に入り込み、一心不乱に物造り励んでいる姿を撮影してきました。ものつくりの匠たちを少しでも理解して頂き、応援していただきたく思っております。
今回の達人達はまだほんの一部にすぎません。県内にはまだまだ大勢の達人がおります。今後第二、第三回と紹介したく思っております ー浅川毅」
まさに、です。
山梨県には、今も昔も変わらぬ伝統工芸を守り続け、日本の生活を支える人がいます。写真に収められた姿からは、年月を重ね、技を極めた匠の心意気までが伝わってきます。
職は、地域の歴史が色濃くでます。
富士山麓など、郡内地域は織物、染色。
日本の古来から続く伝統の硯、印章、花火師、手すき和紙、臼造り、仏具、窯業などは南部地域。
果樹地帯である東部地域は果樹園芸、ワイン醸造家。
北部地域は新しい作家さんたちが集う場所ですから、オルガン作家、吹きガラス、藍染めなどの匠がいます。
そして、甲府です。
水晶、貴石工芸、宝飾ジュエリー、印伝、印章、煮貝、書道家、額縁、表具、料理、畳、左官など、伝統工芸と、生活に密着した、それはそれは多くの思いと技術が今に受け継がれています。
水晶の産地、日本一の宝飾のまち。町民文化が花ひらいた場所です。細かな手仕事と感覚が必要なものばかりです。
特別に浅川さんにお願いして、甲府のみなさんのお写真お借りしました。
今回ブログに載せることも、匠の皆さん快諾くださいました。
まなざしや手先、そしてその姿が「職」というものの在り方を教えてくれる甲府の匠です。ご紹介させてください。順不同です。
現代の名工 貴石 半貴石 水晶彫刻 河野道一さん(河野水晶美術)
宝飾加工職人 深澤利彦さん(錺工房深澤)
ジュエリー作家 小池幸夫さん(小池製作所)
表具師 石部尚樹さん(表具凪於彌)
宝石彫刻家 宅間康二さん(宅間宝石彫刻)
宝石彫刻家 宅間亘さん(宅間宝石彫刻)
写真に収めていくことも、甲府の今と昔、そして未来をつなぐ大切なことだなーって思っています。
「今」なのに、歴史を感じる。それが時代を超える伝統なんだと思います。
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