「しばらくすると、その南、一条小山には、白壁陽に映えて、まばゆいばかりのお城が空にそびえ…」
昭和13年に甲府市教育会が発行した「甲府郷土読本」の16章「町名ところどころ」
不定期ブログ3回目は、武田城下町から徐々に舞鶴城、そしてその南に広がる甲府城下の町名が出てきます。
謝恩碑の形状から大正9年ころかと思われます。(甲府市柳町宮井商会発行のはがき)
この文章の中に舞鶴城という名前は出てきません。
「一条小山には、白壁陽に映えて…」のこの「一条小山」というのが舞鶴城のことを指すのです。
舞鶴城公園でガイドを務める甲府城御案内仕隊の方が、甲府市のHPで
一条小山についてわかりやすく説明してあるので読んでみてください。
舞鶴城、当時この地に住む人の目にどのように映っていたのでしょうか。
お城は一体どんなだったのかと想像するのは楽しいです。
権力というのは、自分では到底作れないものを作り、象徴的で圧倒的なものや行為を見せつけることで維持できると思っています。そんな時代だったと思うのです。
今、天守閣があった、なかった、再現する、しないと論議をしていますが、それは横に少し置いときます。
写真もない時代のこと。城という権力者を守るための機能を果たしていた場所。
それはどんなだったんでしょうね。
道路が通り、県庁、駅、ホテル、デパート、そして多くの住宅など建物がかつてのお城のなかにあります。鳥瞰から見ると、大きさがわかりますし、分断されたのだとわかりますね。
先日お休みをいただき、岡山へ行ってきました。その時、見た景色。
ちょうど去年、天守閣再建50周年の節目でした。これは昭和41年に建てられた鉄筋の建物です。
岡山城とも、烏城とも呼ばれています。甲府城、舞鶴城みたいですね。
ものすごく大きくて、そして、今もテニスコートだったところをつぶしてお城を当時のように復元しようとしている。
舞鶴城はどうだったのかな?
そうはいっても、甲府はこんなんではなかっただろうなーとか、
観光で訪れたら、それが鉄筋だろうが、再現されたものであろうが、なんであろうが行っちゃうなーとか。
史実に忠実でいることと、観光と、そしてお金と、いろいろ色々大人の事情を考えながら、岡山城と後楽園散歩をしました。
さて、「甲府郷土読本」の16章「町名ところどころ」の続き。
「しばらくすると、その南、一条小山には、白壁陽に映えて、まばゆいばかりのお城が空にそびえ、それにつれて、その東から南一帯の地には、上府中から移された穴山・連雀・工・鍛冶・桶屋・一条・和田平・城屋・柳等の町々が木の香りも新しく生まれ出で舊い(ふるい)町は元の字を冠せて、元城屋、元柳など 呼ぶようになった。
上府中にはこれらの外に、武田氏の臣 横田氏、増山氏がすんでいたので横田町。増山町があり、穴山町もこれに類する名である」
お城から南に広がる城下町。自動車もない時代ということを考えると、まちがそこにコンパクトに存在して居ました。工、鍛冶、桶屋といった町名からはまちの成り立ちが違う特徴のある町だったということがわかりますね。
鍛冶町は国内の鍛冶職人はここに住むことを強制されていて、お城の中の鍛冶仕事のほか、仕事がないときは城内清掃をする役として働いていたそうです。
こうふ開府500年のフェイスブックページでも毎週に旧町名のことを書いているのでたどってみてください。
甲府市の全景(甲府市柳町宮井商会発行)。橋の右手にあるのは旧税務署らしいと、この写真をみた年配の方が言ってました。
はがきに書いてある人口が52,201人。
甲府市の人口・世帯の推移表からみると明治43年発行のものと思われます。
新しいか古いか。元とつけられたまち。そして新しい香のするまち。そんな時代の境目があったんですね。
ここで出てくる柳町はこんな町だったそうです。現在の中央2丁目、中央4丁目のあたりです。
柳町の有信銀行前通りの絵葉書 (甲府市柳町宮井商会発行)。写真に写る軌道は、荷物などをお店の仲間で運ぶ荷貨車用の物です。
YANAGIMACHI SANCHOME MAIN STREET, KOFU KAI
り通前行銀信有町柳市府甲(國斐甲)
表記、右と左。
文章の中に出てきた、町の名前、
穴山・連雀・工・鍛冶・桶屋・一条・和田平・城屋・柳・元城屋・元柳・横田町・増山町
どこがどこか想像できますか? おおざっぱに今のまちの住所に当てはめると↓こちらになります
そうそう、以前書いたその①にある表も見て下さい!
どんどん覚えてくださいね。そして自分の住む町がどんなまちだったか「知る」ことって損にはなりません!
次回の「町名ところどころ その④」は!
「畳町・細工町・紺屋町・大工町のように、それらの職人がいたのでつけられたのもある」から始まりますよ!
私だったらどの町だったかなー?
不定期ですが、この連載、終わるまでみてください。よろしくお願いします。
0コメント